シリーズ「かるたでめぐる太子町」では、筒井完次さんの「切り絵でめぐる太子町郷土史かるた」を解説しています。
先週は「ぬ:ぬすっと義賊 五右衛門石」から、大盗賊の石川五右衛門が腰掛けた石についてご紹介しました。
今週は「ぬ」に続き、「ね」で詠まれている泥掛け地蔵について解説します。
「ね:願いが叶う 泥掛け地蔵(どろかけ地蔵)」
「切り絵でめぐる太子町郷土史かるた」の「ね」の読み札は「ね:願いが叶う 泥掛け地蔵(どろかけ地蔵)」です。
絵札からは、泥掛け地蔵がまつられているお堂と、大きな提灯が見えますね。
そして読み札には以下の通り解説されています。
「太子字西ノ口にある石造地蔵尊で、一間四面のお堂に祀られている。物部守屋の像とされ、泥を塗れば吹き出物が治ると伝えられている。」
太子町の泥掛け地蔵
大阪府南河内郡太子町太子には、泥掛け地蔵と呼ばれる地蔵尊があります。
奈良県の天理市や桜井市、また岡山県にも「泥かけ地蔵」は存在し、それぞれお地蔵様に泥を塗り祈願する文化がありました。
大阪府太子町にある地蔵尊にはあるある伝説が残っているんですよ。
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母親は、娘の頬にできた大きな腫れ物に悩んでおり蓮池のお地蔵様に毎日お参りをしていたそうです。
お参りから100日が経った時、母親は地蔵の前で眠りこんでしまいました。
するとお地蔵様が夢の中に現れて「願いを叶えてやるかわりに、蓮池の泥を私に塗ってくれぬか?」と告げます。
母親は夢から覚め、お地蔵様に言われた通りに泥を塗り帰宅しました。
するとなんということでしょう。娘の腫れ物はすっかり治まってたといいます。
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この話を聞きつけた住民は、太子町の泥かけ地蔵に泥を塗り、拝んだということです。
現在は泥を塗ったり触れることはできませんが、地域住民により線香があげられたり、毎年夏に開催される地蔵盆にて大切に守られています。
そして、泥掛け地蔵にはわらべうたがあるんですよ。
「アケ実ミュージック工房 朗楽(ほがらく)」で活躍されている杉山アケ実さんが作詞・作曲した「太子の泥かけ地蔵さま」の歌もぜひチェックしてくださいね。