大阪府太子町の自然を巡る太子ネイチャー、今回は「半夏生(はんげしょう)」をご紹介します。
葉の一部が白色のペンキで塗られたようになっている葉を見たことはありませんか。
本日はこの葉が白くなる不思議な植物とともに名前の由来にちなんだ太子町の伝承菓子をご紹介します。
半夏生とは
半夏生はドクダミ科の植物で、開花時期は6月の終わりから7月初旬頃です。
ドクダミ科の植物なのでドクダミに似た独特の匂いがあり、葉をこすったり傷つけたりすると香りを放ちます。
そして一番の特徴は花が咲く頃に葉が白く変色することです。緑色だった葉っぱはなぜ突然白色に変わるのでしょうか。
半夏生の葉が白く変わる理由
半夏生の葉は不思議な性質も持っています。
花が咲く頃になると花穂の下についている数枚の葉が根から先端にかけて白く変色します。
白くなる面積は1枚1枚違い、花が咲き終わる頃には不思議なことに緑に戻ります。
花が咲くと白くなる理由として、半夏生は虫に花粉を運んでもらって受粉する虫媒花(ちゅうばいか)なので、葉を白くして虫に花のありかを知らせるためではないかといわれています。
半夏生の名前の由来
半夏生という名前の由来は、
1 花の咲く頃に葉の一部が白く色付いて半分だけ化粧をしたようにみえるから
2 季節の半夏生と呼ばれる時期に花が咲くことから
の2つがあるといわれています。
季節の半夏生というのは、雑節(季節の移り変わりをより適切に掴むために設けられた特別な暦)の中の1つで、夏至からちょうど11日目にあたる日のことをいいます。
太子町ではこの半夏生に入る時期を「はげっしょ」と呼んでいます。田植えが終わって落ち着くころで、無事田植えを終えた農家では家族の労をねぎらいました。
太子町の伝統食「半夏生餅(はげっしょもち)」
太子町を含む南河内地域では、半夏生と呼ばれる時期に半夏生餅(はげっしょもち)別名あかねこ餅を食べていました。
半夏生餅は従来のもち米に小麦も混ぜ一緒につくお餅のことです。
ふわふわと柔らかいお餅の中に麦のプチプチとした食感を味わえ、きな粉をかけて食べると、相性が良く美味しいです。
お餅よりも柔らかいため喉に詰まりにくくお年寄りの方も安心して食べることができますね!
田植えが終わった農家が田仕事や畑仕事の労をねぎらい、田の神に感謝する行事で食べていたといわれています。
現在でも太子町にある和菓子の老舗「好月堂」で半夏生餅が販売されています。お餅の水分できな粉がしっとりしてきたときが、美味しい頃合いなのだそうです。
太子町がある南河内地域の和菓子として古くから伝わる伝承菓子の半夏生餅はこの季節のみの販売なので、是非一度ご賞味下さい。