大阪府太子町で見つけた植物をご紹介する太子ネイチャー、第43回目は「金柑(きんかん)」です。
日本では昔から庭木としても人気が高いため、太子町の庭先の至るところで見かけることができます。
今回の金柑の写真は、サンプラザの近くで撮影しました。
金柑が日本に伝来した経緯がとても素敵なため、こちらのエピソードも合わせてご紹介します。
金柑(きんかん)とは
金柑はミカン科ミカン属の常緑木で、中国の浙江省の原産です。
日本には食用の植物として1826年(文政9年)に中国から伝わりました。
原産国である中国で金柑は「金橘(きんきつ)」といい、「橘」といういう漢字は柑橘類(かんきつるい)を意味することから「柑」にあてて「金柑」と名付けました。
金柑の花は6〜7月に直径2センチ程度の白い花をつけ、11〜12月にかけて実をつけ大きく成長します。
そして1〜3月にかけて旬を迎え、美味しく食べることができます。
中国から金柑が伝わった理由
江戸時代に中国から伝来した金柑ですが、これにはとても素敵なエピソードがあります。
1826年に浙江省寧波の商船が遠州灘沖(太平洋付近)で難破し、修理のため静岡県の清水港に立ち寄りました。
そのお礼として船員が船の中にあった金柑の砂糖漬けを清水町の人にプレゼンし、日本に金柑が伝わったとされます。
そしてこの金柑の種を植えたところ、実がつき日本全国に広がりました。
金柑の花言葉は「感謝」ですが、この出来事から花言葉がついたとされています。
金柑の利用方法
梅雨から初夏にかけて甘い香りを放ちながら咲く金柑は庭木として有名ですが、食用や薬用などの用途でも利用されています。
観賞用
金柑は、観賞用に庭木として植えられることが多く、地植えやプランターに入れても栽培が可能です。
金柑の高さは平均で3メートル程ですが、剪定で枝を切り落としても耐性が強いことから、盆栽として栽培されているご家庭も多いです。
食用
中国から最初に伝わった金柑は、甘い砂糖漬けにしたもので、昔からこのように食用としても愛されてきました。
金柑は皮ごと食べることが特徴ですが、この皮には、ビタミンCやヘスペリジンという成分が豊富でのため栄養が豊富です。
薬用
「マルキンカン」と「ナガキンカン」という品種の金柑は薬用として利用され、咳やのどの痛みに効果があるとされています。
そのため日本では「金柑のど飴」などが販売されており、のどに痛みがある際に食べる方も多いのではないでしょうか。
また金柑には抗アレルギーの働きがあるので、黄砂や花粉が辛い方は積極的に金柑を取り入れるようにしましょう。