太子ネイチャー第3回 梅

大阪府太子町でも、そこかしこでがほころび始めています。
早咲きの紅梅が目に美しい季節となりました。

梅は縁起物とされ、よく紅白でならんで植えられていますね。
梅の良い香りがすると、春はもうそこまで来ていると感じます。

梅の花と太子町

大阪府太子町は飛鳥時代の皇族の陵墓が多く、叡福寺に聖徳太子のお墓があることでも有名です。

そのなかでも聖徳太子廟、敏達天皇、用明天皇、推古天皇、孝徳天皇のお墓の場所が、まるで梅の花の5つの花弁と同じように配置されていることから、この5つのお墓は「梅鉢御陵」と呼ばれています。
江戸時代に記された『河内名所図会』によると、この梅鉢御陵という呼び名は叡福寺お坊さんが「梅花の五英(ごひら)のごとし」とよんだことがきっかけとも言われています。

太子町は飛鳥時代の皇族のお墓が多く、古代のロマンがたくさん眠る町です。

そのお墓が梅の花ににた形で配置されているなんて、梅と太子町のご縁の深さが感じられますね。

太子町の「うめまつり」

太子町にほど近い近つ飛鳥博物館では、3月上旬になるとうめまつりが開催されています。

太子町の「梅鉢御陵」にちなんで、平成16年より「近つ飛鳥を梅いっぱいに」を合言葉に近つ飛鳥博物館周辺に梅を植樹する活動をしておられます。
枝垂れ梅など300本を超える梅の木が植えられており、見ごろを迎えると博物館周辺はとても優雅な景色に包まれます。

梅のころには博物館に近づくにつれ、なんともかぐわしい梅の香りが漂ってきます。
お散歩コースもありますので、ぜひ太子町まで来られた際は足を延ばしてみてくださいね。

ウメの花

ウメの花はとても身近で、古くから愛されてきた植物です。

中国原産の植物ですが、いつ頃日本にやってきたのか正確なことはわかっていません。
日本最古の歌集「万葉集」にはウメを題材にした歌は100首近く詠まれており、奈良時代にはすでに広い地域で栽培されていたことがわかります。

また、ウメの樹皮や枝は染料としても利用されています。
代表的なもので赤みのある茶色のものを赤梅染、黒ずんだ茶色のものを黒梅染と言います。

そしてウメといえば多くの方が思い起こすのが、食用として楽しむ梅の実ではないでしょうか。
実は、梅の実はそのまま食べることができないのはご存じでしょうか。
未熟な青梅には毒素が含まれているため、そのまま大量に食べると食中毒を起こしてしまいます。
幼いころに「青梅を食べるとおなかをこわすよ!」と叱られた経験のある方もいるかもしれません。

梅の実を楽しむ場合は、未熟な青梅は梅酒、完熟の梅は梅干しやジャムなど、毒が抜けるように加工してから食べられています。

ゆっくりと暖かい日も増えてきます。
お散歩がてら梅の花を探してみてくださいね。