大阪府太子町の「町の木」がクスノキであることをご存じでしょうか。
太子町の町の木は町制20周年の記念に広く町民から募集され、昭和51年9月26日に「クスノキ」が選ばれました。
クスノキというと「となりのトトロ」に出てくる、トトロの住む大きな木を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
涼やかな木陰をつくりだしてくれる常緑のクスノキは、神社や公園などでよくみることができます。
太子町でも様々な場所で出会う、とても身近な樹木です。
太子町とくすのき
太子町は昭和31年9月30日に当時の磯長村と山田村が合併し、大阪府の町として誕生しました。
そして昭和51年の町制20周年記念行事で、クスノキが町の木に選ばれています。
当時の太子町では、町のシンボルを町民全体で決めるため、広報で応募を広く呼び掛けていました。
市役所にその際の記録が残っています。
『町制20周年を記念に町民憲章文案・町の木・町の花・町の歌を募集しています。
町制20周年を迎えまして、町民憲章文案および町の木・町の花、町の歌を募集いたしますので多数ご応募ください。
応募要項は町会長さんにお願いしまして各戸に配布いたします。』
(太子町広報より抜粋)
市役所に問い合わせるなどして調査しましたが、当時の応募総数やどのような議論を経て町の木がクスノキに決定したのかなどの詳細な記録を知ることはできませんでした。
クスノキはとても寿命が長く、成長するととても大きな木に成長します。
もしかしたらその生命力にあやかって、太子町のさらなる発展を祈念したのかもしれないですね。
クスノキってどんな木?
クスノキは「クス」とも呼ばれており、「樟」や「楠」という漢字があてられます。
常緑の高木でゆうに20メートルを超すほど大きく成長する、力強い木です。
「クス」の名前の由来は「薬の木」とも言われており、クスノキからは「樟脳(しょうのう)」という成分を抽出することができます。
樟脳と聞くと雛人形などをしまうときに一緒に入れる防虫剤の香りがよく知られています。
身近なクスノキが樟脳のもとになっているとは、知らなければびっくりしてしまうかもしれません。
クスノキには人形や衣類の防虫剤の他に、少量であれば血行促進作用や鎮痛作用、消炎作用、鎮痒作用、清涼感をあたえる作用があります。
たくさんの薬効を持つクスノキは香木として親しまれていただけではなく、古くから人々にとってなくてはならない頼れる木だったのでしょう。
またクスノキは、その防虫・防腐効果から飛鳥時代には仏像の素材としてよく利用されていました。
飛鳥時代の仏教といえば聖徳太子を思い起こさせます。
聖徳太子とゆかりの深い太子町の木がクスノキであるということに、なんだかご縁を感じますね。
クスノキは太子町でも、街路樹やお寺の木としてよく出会う身近な存在です。
葉っぱを破いてみると、わずかに樟脳の香りを感じることもできます。
お散歩の途中などで見かけたら、のんびりとながめてみてくださいね。