太子ネイチャー第1回 町の花 さつき

大阪府太子町の「町の花」がサツキであることをご存じでしょうか。

太子町の町の花は町制20周年の記念に広く町民から募集され、昭和51年10月2日に「サツキ」の花が制定されています。サツキと聞いてはっきり花が思い浮かばない方も、ツツジに似た花というとイメージがわくのではないでしょうか。

梅雨前に咲く生け垣などでよく見る愛らしい花で、太子町でもとても身近な存在です。

さつきと太子町の歴史

太子町は昭和31年9月30日に当時の磯長村と山田村が合併し、大阪府の町として誕生しました。その後、太子町の誕生から20年を記念して町の花を募集するにあたって、広報で応募を広く呼び掛けていた記録が市役所に残っています。

太子町広報より抜粋

町制20周年を迎えまして、町民憲章文案および町の木・町の花、町の歌を募集いたしますので多数ご応募ください。応募要項は町会長さんにお願いしまして各戸に配布いたします。

太子町の20周年を記念して、町の花だけではなく、町の木や歌、町民憲章など、様々な取り組みが行われていたことがわかります。残念ながら応募総数や、どのような議論を経て町の花がサツキに決定したのかなどの詳細な記録をたどることはできませんでした。

しかし万葉集にも詠まれるほど緑豊かな二上山を有する太子町としては、自然の渓谷にしか自生しないサツキは今よりも身近な存在であったのかもしれません。

こちらの町の花は太子町のマンホールのデザインにもなっています。太子町まちづくり観光交流センターや役場でカラー版を見ることもできますので、お近くまで寄られた際はぜひ足をお運びください。

サツキの花はどんな花?

サツキはホトトギスの鳴く5月下旬から6月上旬にかけて花を咲かせます。

薄桃色の愛らしい花は、道の植え込みや生け垣などでよく目にする機会がありますね。サツキは旧暦5月の頃に花を咲かせるため、5月の異名である「皐月(さつき)」からその名前をつけられたといわれています。常緑の低木で、関東地方から屋久島にかけて日本の太平洋側に広く分布しています。

野生では日当たりが良い川沿いに自生することが多いのですが、実はダムの建設や川の護岸工事などにより地域によっては絶滅危惧種に指定されています。

自然豊かな太子町では自生するサツキも見つけられるかもしれません。太子町の緑を守ることで、可憐なサツキの花も大切に守ってゆきたいですね。

サツキとツツジの違い

サツキとツツジの違いをご存じでしょうか。どちらもツツジ科・ツツジ属でとても良く似た花を咲かせるのですが、実は違う種類の植物です。江戸時代中旬にツツジが品種改良され、そのときにツツジから生まれた品種がサツキです。

サツキは5月下旬から6月上旬にかけて咲きますが、ツツジは4月から5月中旬にかけて花を咲かせます。

サツキもツツジも俳句の季語として高浜虚子や芥川龍之介などに詠まれており、「躑躅(ツツジ)」と書いてあれば春の歌、「皐(サツキ)」と書いてあれば夏の歌となります。

また、花の大きさはツツジのほうが大きくつぼみが一斉に開花することも特徴です。あたたかな春の名残のある季節に、赤紫や白色など優美な色彩で目を楽しませてくれます。その一方で、サツキは小ぶりなピンクの花が一週間ほどかけてゆっくりと開花してゆきます。梅雨前の心を明るくしてくれる、素敵な花です。

1カ月ほど開花時期が異なるため、ツツジからサツキへ咲き進む様子は、さながら花のリレーのようです。また、一番違いが分かりやすいのが葉の特徴です。ツツジの葉は柔らかく、細かな毛がはえてふわふわとしています。しかしサツキは光沢のある葉で、つるっとした手触りです。

花のない時期でも見比べることができるので、ぜひ見比べて観察してみてくださいね。

ノルディックウォークなどで運動もかねて、お外を歩いてみませんか。とても身近でかわいらしいサツキの花、太子町で探してみてくださいね。