大阪府太子町の自然を紹介する太子ネイチャー、第33回は「フヨウ」です。
秋の空に映えるピンク色の大きな花びらが特徴の「フヨウ」は太子町の太子集会所入り口の近くで見かけることができます。
フヨウの花は古くから日本や中国の絵画や文学の題材として親しまれてきました。
本日は歴史深い「フヨウ」をご紹介します。
フヨウってどんな花?
フヨウは中国南部原産の花で、日本には古い時代に伝来しました。
漢字では「芙蓉(フヨウ)」と表記します。
ピンクや白色の直径10〜15センチ程の花をつけるフヨウですが、花は朝咲いて、夕方にはしぼむ「1日花」です。
夕方には花が閉じますが、毎朝次々に花を咲かすため長期間フヨウを楽しむことができます。
花の開花時期は7月から10月の上旬まで美しく咲きますが、花が枯れた後も印象的で美しいことから「枯れ芙蓉」と言われているんですよ。
フヨウは中医薬(約2700年以上前から古来中国で医学に使用されていた薬のこと)や漢方薬としても使用されており、効能として皮膚感染予防薬として使用されてきました。
フヨウが登場する文学
島崎藤村の処女詩集である若菜集「おきぬ」にフヨウが題材として登場しています。
「芙蓉(フヨウ)を先の身とすれば、涙は秋の花の露・・・・」
解説をすると、「前世が芙蓉だったとしたならば、恋の涙は秋の花の露である」と詠った詩です。
美しく咲く芙蓉を前世として捉えるほど、芙蓉は文芸家に大きな影響を与えていました。
フヨウの園芸品種である「スイフヨウ」
フヨウを園芸用に品種改良した「スイフヨウ」は、1日の中で花の色が変化する面白い特徴を持った花です。
スイフヨウの朝の花びらの色は「白」ですが、午後になると「ピンク色」に変化します。
そして夕方には「紅」に染まり、1日の中で3回も色を変え楽しませてくれますよ。
この花の色変化は、気温が関係しており真夏の暑い時期には朝早くから「ピンク色」になってしまいます。
反対に夏が通り過ぎた「秋」には気温が低くなることから午後まで「白色」のままになっていることも多いです。
秋のスイフヨウは紅、ピンク、白など花の色が混在して美しい花になるため見ごたえがありますね。
フヨウ、スイフヨウで花の色が違うため、植物観察にはおすすめの花です。