大阪府太子町の自然を紹介する太子ネイチャー、第33回は「ヒガンバナ」です。
今回のヒガンバナは太子町の叡福寺と和みの広場で撮影しました。
稲穂が実るころ田畑のあぜ道に咲く赤い花をみると、秋の到来を感じますね。
ヒガンバナとは?
ヒガンバナは中国の揚子江が原産地の、球根植物です。
日本には聖徳太子の生きた仏教伝来の時代に渡ってきたといわれています。
関東以西で群生する姿を見ることができますが、寒さに弱いため東北や北海道では自生していません。
この赤い鮮やかな花は日本ではおなじみの花ですが、欧米では「リコリス」の名で品種改良されて黄色やピンクの品種も誕生しています。
通常の植物と性質が違い、赤い放射状の花が枯れてからはじめて葉が生えてくるため、「ハミズハナミズ(葉見ず花見ず)」と呼ばれることがあります。
ヒガンバナは縁起が悪い?
ヒガンバナというと、縁起が悪いイメージがつきまといます。
実際ヒガンバナの別名は、鮮やかな花色の他に、墓地に咲いている、毒がある、葉がない奇妙な姿、という特徴から、「死人花」「毒花」「地獄花」「葬式花」などです。
しかしヒガンバナはその毒性から昔は動物避けとして重宝されており、「墓地を荒らされないように」「もぐらに田畑を荒されないように」と民家の近くにあえて植栽されていたのをご存知でしょうか。
悪いイメージは近代以降のもので、それまでは人々の生活とともにある花だったのです。
ヒガンバナの活用
また毒抜きをすれば球根も食べることができるため、ヒガンバナはデンプン採取や不作時の食料としての役割も持っています。
また、少量であれば薬として、咳止めや足のむくみ止め、水虫の治療に使われています。
そのほかにもヒガンバナのデンプンは虫よけになるため、ふすまや屏風の細工や、友禅の糊などにも使用されているそうです。
ヒガンバナは秋の花
ヒガンバナは彼岸の頃に咲くので、風に揺れる姿を見ると秋を感じますね。
海外では不吉なイメージよりも、鑑賞価値の高い美しい花と認識されています。
日本各地にヒガンバナの名所も多いので、天気のいい日にお出かけしてみてはいかがでしょうか。