太子タウンでは、毎週筒井完次さんが手掛けた「切り絵でめぐる太子町」を「あ」から順にご紹介しています。
先週は、「ふ:二上山(ふたかみやま)は 我がふる里」の句から、万葉歌にも詠まれている「二上山」についてご紹介しました。
今週は「ふ」に続き、「へ」で詠まれている「太子町の地蔵盆」について解説します。
「へ:平安の感謝をこめて 地蔵盆」
「切り絵でめぐる太子町郷土史かるた」の「へ」の読み札は「へ:平安の感謝をこめて 地蔵盆」です。
絵札には、夕暮れ時の地蔵盆の様子が描かれています。地蔵盆で飾られる提灯は、上から「赤・白・青」色をしていることが分かりますね。まるで夕日・大地・海を表しているかのような美しい色合いです。
そして筒井さんによる解説は以下の通りです。
「町には古い町並みが各所に残り、今も辻々には多くの地蔵尊がまつられています。夏にはこどもたちが楽しみにしている地蔵盆が催され、まちをあげてこどもたちの成長を祈ります。」
太子町の地蔵盆
太子町では毎年お盆過ぎの日曜日に「地蔵盆」が開かれています。
そもそも地蔵盆とは、「地蔵菩薩」がもとになっています。
「地蔵菩薩」とは、遥か未来、弥勒菩薩がこの世に現れるその時まで、仏はいないとされています。その長い間、全ての生きとし生ける者を慈しみで救うのが、この菩薩の役目です。
神秘的な閻魔大王のもう一つの顔とも言われ、一度でも心を込めて地蔵菩薩に祈れば、苦しみから守ってくれると信じられているのです。
他の仏さまとは異なり、直接六つの道を巡り慈悲の手を差し伸べてくださるとされ、親しみやすく「お地蔵さま」と呼ばれています。そして、六つの道とは、人間界、天界、地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界という六つの世界のことを指しています。
お墓には、よく六体のお地蔵さまが祀られています。仏教で言う六道輪廻の教えによれば、私たちのご先祖さまや亡くなった大切な人々が次の世界へと無事に旅立てるよう、それぞれの界を見守るお地蔵さまが一体ずつつとめを果たしているのです。
地蔵盆の期間中はこども達に対する祈りや祈祷をし、特別に食べ物やお菓子を備えたり、楽しい催しや遊びがおこなわれています。
太子町の地蔵盆でも、期間中はお花やお菓子がそえられ、夕暮れ時になると赤や白の提灯に明かりが灯ります。
歴史ある太子町町内の「地蔵盆」には、以下の記事にて詳しく紹介していますのでぜひ合わせてお読みください。