太子町で見つけた植物を紹介する太子ネイチャー、第49回目は「ヤマブキ」です。
ヤマブキというと、絵の具の「黄色」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
黄色に少し茶色を足したような山吹色が美しいヤマブキは春に開花する花ですが、太子町では7月現在でも咲いていますよ。
ヤマブキとは
ヤマブキはバラ科ヤマブキ属の植物で、まるで黄金のような黄色の花をつけます。
花の開花時期は4月から5月まででですが、夏の暑さに非常に強く、反対に冬の寒さにも強い植物です。
日本では北海道から九州まで広く分布し、山の斜面や湿り気のある土地、また明るい林の木陰などで見つけることができます。
傾斜が多い太子町でもヤマブキは多く生息し、春から美しく咲きみだれます。
薬として利用されていたヤマブキ
ヤマブキの花にはカロチノイド、ヘレニエン、ルチン、パルミチン酸といった成分が含まれてます。
これらの成分は「止血剤」の効果があり、古くは民間薬として用いられていました。
花を摘んだあと、乾燥させてたものを切り傷に直接つける方法や、乾燥させた花と煎茶を混ぜ合わせたもので幹部を洗うといった方法が取られていたんですよ。
天日干ししたヤマブキは止血剤以外にも、咳、関節炎、むくみにも効いたとされます。
現在は観賞用のヤマブキですが、昔は薬のために栽培されていたことがわかりますね。
万葉集でも詠まれたヤマブキ
春の季語にも使われる「ヤマブキ」は、日本を代表する歌集でも数多く詠まれてきました。
その登場回数は15回を超えており、昔から人々の近くに生息していたことが伺えます。
ここでヤマブキが登場する詩を一つご紹介しまうす。
万葉集 第十巻 : 花咲きて実はならねども長き日に
原文: 花咲而 實者不成登裳 長氣 所念鴨 山振之花
読み:花咲きて、実はならねども、長き日(け)に、思ほゆるかも、山吹の花
意味:花が咲き実はならないけれども、長い間待ち望んだ山吹の花
ヤマブキの花の種類によっては実がならないものがあります。
第10巻では、ヤマブキの開花を待ちわびた作者の心が伺えます。
ヤマブキを見つけよう
本日は鮮やかな黄色が美しい「ヤマブキ」をご紹介しました。
この時期に咲く黄色の花といえば「オトギリソウ」も有名です。
太子町には幸運の黄色の花がたくさん咲いていますので、ぜひお散歩の際に見つけてくださいね。