太子ネイチャー第5回 ナンテン

大阪府太子町の自然をご紹介する太子ネイチャー、今回は「南天(ナンテン)」です。

今回のナンテンは、竹内街道の近くで撮影しました。

小さな赤い実が鈴なりに実っている景色は、冬の風物詩の一つですね。

庭木としても人気なので、だれでも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

ナンテン

ナンテンはメギ科ナンテン属の常緑低木で、中国原産の植物です。

夏に白い花をつけ、冬に丸くて赤い小さな実をつける姿から、公園や庭などの定番樹木として長年愛されています。

この「ナンテン」という名前ですが、中国から来た際の「南天燭」という呼び名が由来とされています。
中国ではこの赤い実は「灯火」に見立てて名付けられていたのですね。

日本のナンテンは、この「ナンテン」という名前から「難を転ずる」として縁起のいい木とされてきました。

そのためナンテンはお正月の飾りに用いられたり、邪気払いのために各家のお手洗いの近くに植えられているのをよく見かけますね。
ナンテンのお箸を使うと病気にならないという言い伝えもあるほどです。

昔から人々に身近で、愛されてきた植物なのですね。

ナンテンは薬になる

実はこの赤い実を乾燥させると咳止めの薬を作ることができ、古くから薬としても重宝されていました。

喉の不調に「南天のど飴」を舐めたことのある方も多いのではないでしょうか。

ナンテンの実に含まれる「ドメスチン」や「ナンテニン」という成分には、殺菌・鎮痛作用・筋肉や神経の緊張をほぐして咳を鎮める効果があることがわかっています。

またナンテンの葉は殺菌・防腐作用があるためお茶として利用されたり、樹皮や根は胃腸や眼病に効果があるとされています。

ナンテンは昔から、大切な薬になる木として重宝されてきたのですね。

しかしこの南天の実や葉には微量の毒性の成分が含まれていることもわかっています。
咳止め効果のあるナンテニンもアルカロイド系の有毒成分のひとつなので、大量摂取すると危険です。

「薬も過ぎれば毒」ということでしょうか。
咳止めだからと安易に口にするのは避けるようにしましょう。

太子町でナンテンをさがしてみよう

今回は竹ノ内街道近くのナンテンをご紹介しましたが、太子町には様々な場所でナンテンの木を見つけることができます。

品種改良された白い実のナンテンもあり、夏には白い小さな花を楽しむこともできます。

ぜひお家の近くのナンテンを観察してみてくださいね。